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第1 刑事告訴状・刑事告発状 作成の知識

 

1 告訴状記載事項

(1)当事者(告訴人・被告訴人など)

(2)告訴の趣旨

(3)告訴事実

(4)告訴の経緯

(5)証拠方法

 

2 処罰意思の明示

基本的に(4)告訴の経緯の文末に「よって書き」により、処罰意思の明示を記載します。

(文例)「よって、被告訴人に対し厳重な捜査のうえ厳罰に処して頂きたく告訴致します。」

 

3 被告訴人の情報

被告訴人の「氏名・住所・電話番号」場合によっては「職業」「法人の場合は、その名称及び所在地」等の記載が必要ですが、分からない場合は「不詳」との記載でも大丈夫です。

 

4 ナンバリング

第1 第2・・・

1 2 3・・・

(1) (2)・・・

ア  イ  ウ・・・

(ア) (イ) ・・・

a  b  C・・・

(a) (b) ・・・

の様に公用文に従って項目分けを行います。

 

5 記載内容の方法

基本的に5W1H(6何の原則)で事実関係を明確に記載します。

可能な限り主語・述語までを短く区切り記載すると分かりやすい文章となります。 

第2 刑事告訴・刑事告発の対応についての資料

【刑事訴訟法 告訴・告発 抜粋】

第230条 犯罪により害を被つた者は、告訴をすることができる。

第231条 被害者の法定代理人は、独立して告訴をすることができる。

2 被害者が死亡したときは、その配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹は、告訴をすることができる。但し、被害者の明示した意思に反することはできない。

第232条 被害者の法定代理人が被疑者であるとき、被疑者の配偶者であるとき、又は被疑者の四親等内の血族若しくは三親等内の姻族であるときは、被害者の親族は、独立して告訴をすることができる。

第233条 死者の名誉を毀損した罪については、死者の親族又は子孫は、告訴をすることができる。

2 名誉を毀損した罪について被害者が告訴をしないで死亡したときも、前項と同様である。但し、被害者の明示した意思に反することはできない。

第234条 親告罪について告訴をすることができる者がない場合には、検察官は、利害関係人の申立により告訴をすることができる者を指定することができる。

第235条 親告罪の告訴は、犯人を知つた日から6箇月を経過したときは、これをすることができない。ただし、刑法第232条第2項の規定により外国の代表者が行う告訴及び日本国に派遣された外国の使節に対する同法第230条又は第231条の罪につきその使節が行う告訴については、この限りでない。

第236条 告訴をすることができる者が数人ある場合には、1人の期間の徒過は、他の者に対しその効力を及ぼさない。

第237条 告訴は、公訴の提起があるまでこれを取り消すことができる。

2 告訴の取消をした者は、更に告訴をすることができない。

3 前二項の規定は、請求を待つて受理すべき事件についての請求についてこれを準用する。

第238条 親告罪について共犯の1人又は数人に対してした告訴又はその取消は、他の共犯に対しても、その効力を生ずる。

2 前項の規定は、告発又は請求を待つて受理すべき事件についての告発若しくは請求又はその取消についてこれを準用する。

第239条 何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができる。

2 官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。

第240条 告訴は、代理人によりこれをすることができる。告訴の取消についても、同様である。

第241条 告訴又は告発は、書面又は口頭で検察官又は司法警察員にこれをしなければならない。

2 検察官又は司法警察員は、口頭による告訴又は告発を受けたときは調書を作らなければならない。

第242条 司法警察員は、告訴又は告発を受けたときは、速やかにこれに関する書類及び証拠物を検察官に送付しなければならない。

第243条 前二条の規定は、告訴又は告発の取消についてこれを準用する。

第244条 刑法第232条第2項の規定により外国の代表者が行う告訴又はその取消は、第241条及び前条の規定にかかわらず、外務大臣にこれをすることができる。日本国に派遣された外国の使節に対する刑法第230条又は第231条の罪につきその使節が行う告訴又はその取消も、同様である。

【犯罪捜査規範 告訴・告発 抜粋】

(告訴、告発および自首の受理)

第63条 司法警察員たる警察官は、告訴、告発または自首をする者があつたときは、管轄区域内の事件であるかどうかを問わず、この節に定めるところにより、これを受理しなければならない。

2 司法巡査たる警察官は、告訴、告発または自首をする者があつたときは、直ちに、これを司法警察員たる警察官に移さなければならない。

(自首調書、告訴調書および告発調書等)

第64条 自首を受けたときまたは口頭による告訴もしくは告発を受けたときは、自首調書または告訴調書もしくは告発調書を作成しなければならない。

2 告訴または告発の口頭による取消しを受けたときは、告訴取消調書または告発取消調書を作成しなければならない。

(書面による告訴および告発)

第65条 書面による告訴または告発を受けた場合においても、その趣旨が不明であるときまたは本人の意思に適合しないと認められるときは、本人から補充の書面を差し出させ、またはその供述を求めて参考人供述調書(補充調書)を作成しなければならない。

(被害者以外の者の告訴)

第66条 被害者の委任による代理人から告訴を受ける場合には、委任状を差し出させなければならない。

2 被害者以外の告訴権者から告訴を受ける場合には、その資格を証する書面を差し出させなければならない。

3 被害者以外の告訴権者の委任による代理人から告訴を受ける場合には、前2項の書面をあわせ差し出させなければならない。

4 前3項の規定は、告訴の取消を受ける場合について準用する。

(告訴事件および告発事件の捜査)

第67条 告訴または告発があつた事件については、特にすみやかに捜査を行うように努めるとともに、次に掲げる事項に注意しなければならない。

(1) ぶ告、中傷を目的とする虚偽または著しい誇張によるものでないかどうか。

(2) 当該事件の犯罪事実以外の犯罪がないかどうか。

【告訴・告発 受理義務 裁判例】

(1)東京高裁昭和56年5月20日判決 

「記載事実が不明確なもの、記載事実が特定されないもの、記載内容から犯罪が成立しないことが明白なもの、事件に公訴時効が成立しているもの等でない限り、検察官・司法警察員は告訴・告発を受理する義務を負う」

【警察庁 通達】

(1)平 成 31年 3 月 27 日

 告訴・告発の受理体制及び指導・管理の強化に係る具体的留意事項について 告訴・告発については、「告訴・告発の受理体制及び指導・管理の強化につい て」(平成24年12月6日付け警察庁丙刑企発第103号ほか)により、都道府県警 察における「本部告訴・告発センター」、「告訴・告発対応室」等(以下「「本部 告訴・告発センター」等」という。)、一括した窓口で受理するための体制の整 備及び本部事件担当課による指導・管理の徹底を指示したところであるが、体制 の整備等を行うに際しての具体的留意事項については下記のとおりであるから、 これを踏まえ各都道府県警察の実情に応じて対応されたい。

 記 1 警察署における体制の整備等

(1) 「警察署告訴・告発センター」等の設置 警察署に、「警察署告訴・告発センター」等を設置するものとする。

(2) 構成等 「警察署告訴・告発センター」等は、対応責任者及び対応担当者をもって 構成することとし、対応責任者にはいずれかの事件担当課の警視又は警部の 階級にある警察官を、対応担当者には各事件担当課の警部又は警部補の階級 にある警察官を指定するものとする。 対応責任者は、「警察署告訴・告発センター」等の事務に関する調整の責 任を負う。

(3) 「警察署告訴・告発センター」等の事務 ア 告訴・告発の受理等 「警察署告訴・告発センター」等は、警察署に対し告訴・告発の相談・ 申出をする者があったときは、当該告訴・告発の相談・申出に対応し、告 訴権の有無、告訴・告発期間、犯罪構成要件の充足の有無等の要件を確認 するなどした上、受理の可否について判断するものとする。

 なお、擬律判断に専門的知識を要し告訴・告発の受理の可否の判断が難 しいものについては、その都度、本部事件担当課を経由して「本部告訴・ 告発センター」等に報告し、「本部告訴・告発センター」等の意見を踏ま えて受理の可否を判断するものとする。 イ 警察署事件担当課の決定 「警察署告訴・告発センター」等は、告訴・告発を受理し、又は「本部 告訴・告発センター」等から告訴・告発の引継ぎを受けたときは、当該告 訴・告発を処理すべき警察署事件担当課を決定するものとする。

 ウ 進捗状況の管理 「警察署告訴・告発センター」等は、当該警察署が取り扱う告訴・告発 の相談、受理、捜査状況等を把握し、その状況を本部事件担当課を経由し て、「本部告訴・告発センター」等に報告するものとする。

(4) 警察署事件担当課の事務 警察署事件担当課は、当該警察署の「警察署告訴・告発センター」等が受 理し、又は「本部告訴・告発センター」等から当該警察署の「警察署告訴・ 告発センター」等を通じて引継ぎを受けた告訴・告発について、事件処理を 行うものとする。また、警察署事件担当課は、当該警察署の「警察署告訴・ 告発センター」等を経由し、本部事件担当課に対し、告訴・告発事件の捜査 状況等を報告するものとする。

2 警察本部における体制の整備等

(1) 「本部告訴・告発センター」等の設置 警察本部に、「本部告訴・告発センター」等を設置するものとする。

(2) 構成等 「本部告訴・告発センター」等は、責任者及び対応担当者をもって構成す ることとし、責任者にはいずれかの専務部門の警視の階級にある警察官を、 対応担当者には専務部門の警部の階級にある警察官を配置又は指定するもの とする。 責任者は、「本部告訴・告発センター」等の事務に関する調整の責任を負 う。 (3) 「本部告訴・告発センター」等の事務 ア 告訴・告発の受理等 「本部告訴・告発センター」等は、警察本部に対し告訴・告発の相談・ 申出をする者があったときは、当該告訴・告発の相談・申出に対応し、告 訴権の有無、告訴・告発期間、犯罪構成要件の充足の有無等の要件を確認 し、必要に応じて、本部事件担当課の意見を踏まえながら、当該告訴・告 発の受理の可否について判断するものとする。

 受理の可否について判断し、告訴・告発を受理したときは、当該告訴・ 告発を処理すべき警察署を決定した上、本部事件担当課を通じて、当該警 察署の「警察署告訴・告発センター」等に引き継ぐものとする。 また、警察署に対して告訴・告発の相談がなされた場合において、擬律 判断に専門的知識を要し告訴・告発の受理の可否の判断が難しいとして、 本部事件担当課を経由して当該警察署の「警察署告訴・告発センター」等 から報告を受けたときは、当該警察署の「警察署告訴・告発センター」等 が受理の可否について適切に判断できるよう必要な意見を述べるものとす る。

イ 進捗状況の管理 「本部告訴・告発センター」等は、「警察署告訴・告発センター」等か ら本部事件担当課を経由して、告訴・告発の相談、受理、捜査状況等の報 告を受け、本部事件担当課を通じ、当該「警察署告訴・告発センター」等 に対して、未処理事件の解消等に必要な一般的指示・指導を行うものとす る。

(4) 本部事件担当課の事務

ア 受理の可否についての意見 本部事件担当課は、「本部告訴・告発センター」等及び「警察署告訴・ 告発センター」等が取り扱う告訴・告発について、擬律判断に専門的知識 を要し受理の可否の判断が難しいとして意見を求められたときは、「本部 告訴・告発センター」等及び「警察署告訴・告発センター」等が受理の可 否について適切に判断できるよう必要な意見を述べるものとする。

イ 「本部告訴・告発センター」等への報告等 本部事件担当課は、「本部告訴・告発センター」等に対し、「警察署告 訴・告発センター」等から受けた告訴・告発の相談、受理、捜査状況等を 報告するものとする。また、本部事件担当課は、「本部告訴・告発センタ ー」等が受理した告訴・告発について、これを処理すべき「警察署告訴・ 告発センター」等に引き継ぐものとする。

 なお、引継ぎの過程において、本部事件担当課が、直接当該告訴・告発 を処理すべきと判断したときは、「警察署告訴・告発対応センター」等に 引き継ぐことなく、本部事件担当課において直接処理することを妨げない。

ウ 警察署事件担当課に対する事件指導等 本部事件担当課は、「警察署告訴・告発センター」等を通じ又は直接、 警察署事件担当課が取り扱う告訴・告発の処理方針、事件捜査について指 導するものとする。

 また、警察署事件担当課が取り扱う告訴・告発につい て、未処理事件が多く早期に処理する必要があると認められる場合、事件 が複雑で多くの人員を要すると認められる場合等は、警察署事件担当課に 捜査員を応援派遣するなどして警察署事件担当課とともに事件捜査に当た るものとする。

3 体制の整備に当たっての留意事項 「警察署告訴・告発センター」等及び「本部告訴・告発センター」等の設置 に当たっては、都道府県警察の実情に応じた体制を整備すること。

 なお、警察本部における受理体制の整備に当たっては、各部横断的な受理体 制及び指導・管理体制の整備が必要となることから、原則として、別添「告訴 ・告発の受理体制及び指導・管理の強化イメージ①」を参考にすることとし、 都道府県警察の規模が大きく、告訴・告発の取扱件数が多いなど、各部横断的 な受理体制及び指導・管理体制の構築が困難であり、又は適正な管理にかえっ て合理性を欠くと思われる都道府県警察についてのみ、別添「告訴・告発の受 理体制及び指導・管理の強化イメージ②」をも参考とすること。

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